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「ヘテローシス効果というんですが、たとえばランドレースと大ヨークシャーは子をたくさん産む能力があり、デュロクは肉質が優れている。
そこで前者の掛け合わせによるハーフに、デュロクを掛け合わせて3品種を混ぜるんです。
すると、それぞれの長所をあわせもった豚ができるわけです」これはあくまでも「質より量」的発想の生産方法である。 一方、あくまでもおいしさを追求し、生産コストはかかってもクオリティの高い豚を、とできたのが、かの「黒豚」などのブランドものだ。
「黒豚が一回に産む子どもの数はせいぜい8頭で、飼育に200〜230日もかけるんです。 そして、100キロをきっていても屠殺してしまう。
ほかに比くればずいぶん賛沢な飼育法ですが、高価だが味がいいという評判を得ることによって、コスト的にもペイするのです」生産者は、これはおいしい、という豚肉を作ったときに銘柄、つまり「H豚」「Sポーク」「Nロイヤル」といったブランドをつける。 黒豚は品種名がそのままブランド名になった例だ。
もとはイギリス生まれのバークシャーという品種が中国を渡って日本に入り、鹿児島でサツマイモのつるなどを餌に、飼育されていた地豚だという。 「同じ品質の豚でも、餌によって肉質が変わるんです。
たとえば、トウモロコシを食べて育った豚は脂肪酸の融点が高く、脂肪の色が黄色みがかっている。 穀類のでんぷんを食べたものは、いく分融点が低いので肉がしまり、脂肪の色も白っぽいんです。
つまり品種は同じでもブランドは異なるわけです」このようにいろいろな工夫がなされた結果、ブランドは多様化し、現在日本では、ざっと百以上ものブランドがあるという。 ところで、豚肉のおいしさは、何によって決まるのだろう。
「肉の硬さを決めるのは筋肉の繊維の密度で、柔らか過ぎず、かた過ぎずの微妙なころあいが難しいんです。 それから、筋肉の中に脂肪がうまく入り込んでいるかが、大きな決め手になります。
それにはゆっくり育てることが大切なんです」おいしい牛肉の代名詞「霜降り」は、赤身に白い筋状の脂肪がはっきり見えるが、見た目は全部ピンクだが食べてみるとほどよい脂肪が含まれている、というのが豚肉版霜降りといったところだ。 「実際、たとえば黒豚とほかの豚の肉を詳しく分析してみると、かなりの差があります。
ヒレの場合、一般の豚で100グラムあたり5.3グラムなのに対し、黒豚は6.7グラム。 これがおいしさの差なんです」一般的に豚肉の脂は嫌われる傾向にあるが、「健康を気にする人は、まわりの脂をとって、赤身の中に含まれる脂肪を食べれば、より豊かな食生活になると思います」とKさんはいう。
豚肉のブランドによる値段の差は、100グラムあたりせいぜい30〜40円程度。 それなら、多少高くても付加価値のついたものを選んでしまうのが人情だ。
大量生産からブランドものへと、豚肉は確実に移行している。 酒好きの御仁にはおおいに興味がそそられる話かもしれない。
酒を粉末にしてしまう画期的な技術の話である。 すでに加工食品の原材料として実用化されているもので、味もフレイバーも液体のものとまったく変わらない。
「粉末酒といっても、『ジョニ黒』と『ジョニ赤』の微妙な味の違いまで、忠実に再現できるんですよ」と、粉末酒を開発したS食品工業社長のSさん。 「方法は、いたってシンプルです。
酒に水溶性のでんぷん(デキストリン)を適当な条件で溶かして、瞬間乾燥させるんですよ。 すると水分だけがとんでアルコールや匂いの成分はそのまま残るわけです。
どんなアルコールにも応用できるんですけど、発泡性のビールやシャンパンなどは、炭酸ガスが抜けちゃってダメですね。 もっとも、もどすときに炭酸を加えれば、風味はもとどおりになりますけど」粉末の色は、無色の酒ならデキストリン自体の色である白色、赤ワインは薄いピンク色、ウイスキーやブランデーなら、やや黄色味を帯びるといったぐあい。
価格のほうは、原料とする原酒によって変わってくる。 焼酎、ウォッカの粉末酒なら、一キロ千円前後。
ウイスキーやブランデーのような高級なものは、原酒自体が高いので値段もあがる。 ところで、この粉末酒開発のかげには、インスタント食品の登場がおおいに関係しているという。
昭和30年代の後半に誕生し、またたく間に日本人の食生活に深く根を張ったインスタント食品と、粉末酒は、いったいどんな関係をもつというのだろう。 「インスタント食品の開発のために、粉末調味料のニーズが高まってきましてね。
調味料として重要な酒の粉末化ができないかということになったんです。 当時、私どもは白醤油という、アルコール分を多く含んだ色の薄い醤油を作っていたのですが、それをなんとか乾燥できないかと考えたのがきっかけなんです」なるほど、アルコールは料理の隠し味として欠かせない。
ところが、インスタント食品用にいざ乾燥加工する段になると、アルコールがとんでしまい、味は残っても、香りがなくなってしまう。 そこで、水分がとんでもアルコール分をキープする技術が必要になったのだ。
「たとえば、焼酎はアルコールと水でできているでしょう。 両成分とも揮発性の液体だから、普通に乾燥しても粉末になるわけがないんです。
そこで透明のオブラートのようなもので成分を包んだらどうかと考えたわけです。 それには、原料の味を損なわないという点でも、コストの面からいっても、デキストリンがいちばんよかろうということで」画期的な技術というのは、いつもちょっとした工夫から生まれるのだ。
この技術は酒以外のさまざまな調味料にも応用され、いまではインスタント焼きそばの粉末ソースに使われているほか、粉末スープや粉末みりん、粉末酢などの各種調味料として、すっかり身近な存在となっている。 また、粉末酒をチョコレートやキャンディーなどに練り込んだり、小麦粉にブレンドしてドーナツやクッキーの生地にするなど、いろいろな場面で活躍しているのだ。
ところで、せっかく味も風味も液体にひけをとらないという粉末酒なのだから、調味料としてだけではなく、どこでも気軽にうまい酒が楽しめるというふれ込みで売り出したらおもしろいのに、と思うのだが。 旅行や登山のときも軽くて便利そうだし、酒の買い出しもかさばらなくていい。
それに、スペースシャトルに積み込んで、月見酒ならぬ地球見酒とシャレこむのも悪くない、などと勝手な想像をめぐらしていたら、Sさんからは意外にもシビアな答えが返ってきた。 「いや、粉末酒のようにいつでもどこでも飲めるということになると、未成年者の飲酒や、飲酒運転が広がって社会問題になりますしね。
それに、普段お酒を楽しむときは、やはり液体のほうが雰囲気が出ていいでしょう。 たとえ成分が同じでも、わざわざ粉末になった酒を水で溶かしてまで飲む必要はないと思います」酒は、おいしい肴と酒場のムード、ボトルを横にチビリチビリとやるのが正統派というわけだ。
「酒というのは古今東西液体なんですよ。 それを、せっかく水分をとって固形にしたんだから、粉末酒ならではの新しい用途、食べる酒とでもいうものを開発したいと思っているんです。
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それにはゆっくり育てることが大切なんです」おいしい牛肉の代名詞「霜降り」は、赤身に白い筋状の脂肪がはっきり見えるが、見た目は全部ピンクだが食べてみるとほどよい脂肪が含まれている、というのが豚肉版霜降りといったところだ。 「実際、たとえば黒豚とほかの豚の肉を詳しく分析してみると、かなりの差があります。
ヒレの場合、一般の豚で100グラムあたり5.3グラムなのに対し、黒豚は6.7グラム。 これがおいしさの差なんです」一般的に豚肉の脂は嫌われる傾向にあるが、「健康を気にする人は、まわりの脂をとって、赤身の中に含まれる脂肪を食べれば、より豊かな食生活になると思います」とKさんはいう。
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酒に水溶性のでんぷん(デキストリン)を適当な条件で溶かして、瞬間乾燥させるんですよ。 すると水分だけがとんでアルコールや匂いの成分はそのまま残るわけです。
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価格のほうは、原料とする原酒によって変わってくる。 焼酎、ウォッカの粉末酒なら、一キロ千円前後。
ウイスキーやブランデーのような高級なものは、原酒自体が高いので値段もあがる。 ところで、この粉末酒開発のかげには、インスタント食品の登場がおおいに関係しているという。
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